VPSでDiscord Botを作ろう!

この記事は、シリーズ「VPSでdiscord.py Bot開発&運営」の一部です。( 1 / 5 )

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この連載のゴール

VPSでdiscord.pyでBotを開発・実行できる環境を整えます。

この連載でわかること

主に以下のようなことがわかります。

  • VPSとは何か
  • VPSのメリット・デメリット
  • VPSプランの選び方
  • VPSにSSHクライアントで接続する方法
  • Ubuntuの初期セキュリティ設定
  • UbuntuでDiscord.py開発環境を整える手順

筆者はConoHaおよびカゴヤ・ジャパンでDiscord botを開発・ホスティングしているため、これらをベースに話を進めますが、VPSサービスが異なっても、環境構築内容に違いはほぼないため、問題なく読んで頂けると思います。

VPSとは

VPS

VPSは、「Virtual Private Server」の略。1台のサーバ上に、仮想化技術を利用し、複数のサーバを立てる技術のことです。

VPSサービス

VPSサービスを一言で言うと、インターネットに繋がったコンピュータを1台貸してもらえるようなものです。また、大抵の場合、固定IPアドレスもついてきます。
正確にいうと、貸してもらえるのは「1台」ではありません。1台のハードを複数人で分け合って使います。でも、1台のサーバとして扱えて、データ領域は完全に分断されています。これがVirtualとよばれる理由です。
※ これ以降、「VPS」は「VPSサービス」およびその機能で作成した「VPSインスタンス(Linux)」を指します。

メリットとデメリット

VPSのメリットとデメリットは表裏一体です。VPSについて、筆者の思うことをトピック別にまとめてみました。

セキュリティ(安全性)について

VPSは、root権限やファイアウォール含めて、すべて管理者であるユーザがコントロールすることができます。
逆にいうと、これらを適切にコントロールし、他の利用者や、自分のデータを守る責任を負うことになります。

VPSはインスタンスを作成してOSを起動した瞬間、インターネット上に公開されます。適切な対策を講じないと、あっというまに悪意ある他者にクラックされてしまいます。
そういうリスクの高さから、「初心者は使わないほうがいい」とよく言われます。
しかし、いっぽうで、自分のサーバを自分で守る経験は、会社のインフラ担当でもなければ、そうそうできるものではありません。失敗してもいい範囲でやってみるのも経験であると筆者は思います。
その場合、自信がつくまでは、個人情報や大事なメールアドレスなどはサーバに置かないようにしましょう。

Linuxスキルについて

VPSは、リモートデスクトップによるGUIでも操作可能ですが、初期セットアップやリモートデスクトップがうまくいかないときの対応など、最低限のLinuxスキル(ターミナル操作等)は必要です。
とはいえ、インターネット上に、(VPS自体の情報は少ないかもしれませんが)サーバ管理の情報は多く存在するため、Google検索しながら進めていけばなんとかなります。また、その知識は自分の財産になるでしょう。
ちなみに筆者は、開発作業含め、すべての作業をWindows上のPuttyでSSH接続して行っています。慣れるとマウスに触らずに済むので大変便利です。

データベースやWebサーバについて

Heroku等のホスティングサービスでは、設定画面からワンクリックでデータベース等を追加することができます。
一方で、VPSでは、自分で選択し、いちから設定する必要があります。
しかし、逆に言うと、VPSでは、制約なしにアプリケーションのオプションやバージョンなどを好きなように選び、設定することができます。

価格

ずっと完全無料のVPSはごくわずかで、数百円~数千円程度の月額使用料がかかるものが多いです。
詳細はプラン・料金・契約を参照。

プラン・料金・契約

プラン

VPSサービスは、プラン(=スペックとそれに対応する料金)を選択して契約できます。
Botの規模にもよるため一概にはいえないのですが、単純な受け答えをするBotであれば、メモリが1GB以下、CPUコアが1つのものでも十分です。
実際、筆者がConoHaで契約中のサーバは、メモリが512MBのプランです。

料金

上に示した程度のスペックであれば、月額1,000円以下のプランで十分事足ります。
初期費用0円かつ時間単位課金のサービスも多いため、すこし試しに使ってみるだけなら数十円で済みます。
また、Google Cloud Platformでは、低スペックのVPSに限り無料で提供しています。
海外サイト等で激安・無料のVPSレンタルを謳うものも存在しますが、信頼できるサービスであるか、しっかり見極めて使うようにしましょう。

プラン・料金の例(2019/2のデータ)

ConoHa
最安は630円のプランです。

カゴヤ・ジャパン
最安は648円のプランです。

支払い方法

基本的にどのサービスでもクレジットカード支払いが可能です。
銀行振込、プリペイドカード払い等、クレジットカードがなくても使えるサービスも多いです。

契約には何が必要?

VPSとはいえサーバを借りるというそこそこの契約であるため、生年月日、住所、氏名、電話番号などを求められます。
AWSのようにクレジットカードがないと契約できない、というサービスは少ないです。
加えて年齢制限がないサービスも多いので、学生さんでも大丈夫です。

まとめ

VPSについて

有料でVPSをレンタルすることが可能です。Discord Botの開発・運営にはスペックはそこまで必要ありませんので、月額1,000円以下のプランで十分です。
VPSの使用には責任が伴いますが、自由度が高く、勉強になることも多いでしょう。

次回以降は、VPSを契約し、セキュリティ設定を行っていきます。

紹介したVPSレンタルサービス

ConoHa
GMOの運営するVPSレンタルサービスです。
回線速度が速く、インスタンス立ち上げが非常に高速で、時間単位課金のため、気が向いたときにちょっとだけ使うのにも最適です。
カゴヤ・ジャパン
カゴヤの運営するVPSレンタルサービスです。
スペックに対してのコストパフォーマンスが非常に良いです。

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